トピックス
- TOPICS -
2024.05.30

令和5年1月に経営事項審査の改正がありました。
改正の内容は、「その他の審査項目(社会性等)(W)」の見直しです。
以下の順番で一つ一つ見ていきたいと思います。
1.改正の全体像
2.ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況(W₁-⑨)の新設
3.建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況(W₁-⑩)の新設
4.総合評定値算出係数の改正
5.建設機械の保有状況(W₇)についての改正
6.国又は国際標準化機構が定めた規格による認証又は登録の状況(W₈)についての改正
まず、今回の改正の全体像を見てみましょう。
「W₁」の項目名が「労働福祉の状況」から「建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況」に変更されました。
そして、これまでは独立した評価項目だった「若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況(W₉)」「知識及び技術又は技能の向上に関する建設工事に従事する者の取組の状況(W₁₀)」の2つが、W₁の中に組み込まれました。
そのうえで、「ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況」「建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況」の2つがW₁に新設されました。
「W₇」は、近年災害が激甚化・頻発化しているため、地域防災の観点から、災害時の復旧対応に使用される建設機械の保有状況を評価するものです。定期検査をもとに確認して加点評価します。
こちらも災害対応の実情に合わせて加点対象機種が拡大されました。加点対象建設機械は従来6機種でしたが新たに4機種追加され、10機種になりました。
「W₈」の項目名が「国際標準化機構が定めた規格による登録状況」から「国又は国際標準化機構が定めた規格による認証又は登録の状況」に変更されました。
環境への配慮に関する取組の評価対象として、これまでの国際標準化機構が定める「ISO14001」に加えて、環境省が定める「エコアクション21」が追加されました。
その他の審査項目(社会性等)の評点(W)は、今回の改正によりP点に占めるウェイトが大きく増加しました。
そこで各項目間のバランスを調整するため、審査基準日が令和5年8月14日以降の申請について、総合評定値算出の係数が変更となりました。
今回の改正でW₁に新設された評価項目になります。
内閣府による「女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する実施要項」に基づく評価です。
既存の認定制度である「女性活躍推進法に基づく認定」、「次世代法に基づく認定」及び「若者雇用促進法に基づく認定」と連携する形での評価となります。
具体的には、審査基準日に以下の各認定を取得しているかどうかで配点されます。

取得している認定のうち、最も配点の高いものを評価します(最大5点)。
例えば、「プラチナえるぼし認定」「くるみん認定」「ユースエール認定」の3つを取得している場合、一番配点の高い「プラチナえるぼし認定」を評価して5点の加点になります。
「基準適合事業主認定通知書」「基準適合一般事業主認定通知書」などによって認定の取得状況を確認します。
審査基準日に認定取消または辞退がされていた場合には、加点対象となりません。
建設工事の担い手を育成し確保するためには、技能労働者等を適正に評価することが必要です。
そして、そのためには就業履歴の蓄積のための環境を整備することが必要となります。
そこで、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用状況が加点対象として新設されました。
審査基準日(直前の事業年度終了日)までの1年以内に発注者から直接請け負った民間工事を含むすべての建設工事またはすべての公共工事で、技能労働者の就業履歴を蓄積するため、CCUS上での現場登録やカードリーダー設置など必要な措置を実施していることが評価されます。
具体的には以下の➀~➂のすべてを実施している場合に加点されます。
➀CCUS上での現場・契約情報の登録
➁建設工事に従事する者が直接入力によらない方法(※)でCCUS上に就業履歴を蓄積できる体制の整備
➂経営事項審査申請時に様式第6号に掲げる誓約書の提出
※直接入力によらない方法:就業履歴データ登録標準API連携認定システムにより、入退場履歴を記録できる措置を実施していることなど
ただし以下の➀~➂の工事は審査対象から除外されています。
➀日本国内以外の工事
➁建設業法施行令で定める軽微な工事
「工事1件の請負代金の額が500万円(建築一式工事の場合は1,500万円に満たない工事、建築一式工事のうち面積が150㎡に満たない木造住宅を建設する工事)」
③災害応急工事
「防災協定に基づく契約または発注者の指示により実施された工事」

※ただし、審査基準日以前1年のうちに、審査対象工事を1件も発注者から直接請け負ってない場合には、加点になりません。
建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況(W₁-⑩)が評価項目として追加されました。
そのため、このままだと総合評定値(P点)に占める「その他の審査項目(社会性)(W)」のウエイトが高くなってしまいます。
調整のため、評点Wの算出式が変更になりました。
○審査基準日:令和5年8月13日以前
評点W=(W₁~W₈の合計)×(1,900/200)
○審査基準日:令和5年8月13日以降
評点W=(W₁~W₈の合計)×(1,750/200)
W₇は、地域防災の観点から、災害時の復旧対応に使用される建設機械の保有状況を評価するものです。
定期検査により保有・稼働の確認ができる代表的な建設機械の保有状況を加点評価します。
保有には、1年7月を超えるリース契約も含まれます。
改正前は、実際の災害対応で活躍しているにもかかわらず、経営事項審査上は加点対象となっていない建設機械が多く存在していました。
災害対応力を適正に評価するため、今までの加点対象に加えて加点対象建設機械が4機種追加されました。

W₈では、環境に配慮する取組として脱炭素化に向けた取組が加速する中、環境問題への取組を適切に評価します。
環境省が定める「エコアクション21」が評価対象として追加されました。
評点は、改正前からの加点対象である「ISO14001」の5点に対し、「エコアクション21」は3点に設定されました。
「ISO14001」に比べて認定手続きが簡便であるためです。
両方の認証を取得している場合には評点の合算はされないことになっています。


注意したいのは、新たに加わった評価項目での加点がない場合、総合評定値(P点)は下がってしまうという点です。
それは、配点の大きい「建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況(W₁-⑩)」を新設したことで、「P点」に占める「W点」の比重が大きく増加しました。
そのため、今回は変更がない「経営規模」「経営状況」「技術力」といった評価項目とのバランスをとる必要が生じました。
調整のため、総合評定値「P点」を求める計算式の見直しが行われたことが原因です。
逆にW₁-⑩は配点が大きいので、加点された場合には、大きな「P点」の引き上げ効果が見込まれることになります。
【P点(総合点)の算定式】
(P)=(X₁)×0.25+(X₂)×0.15+(Y)×0.20+(Z)×0.25+(W)×0.15